暮らしに息づく紅
細工紅
⽊版画(錦絵)に使⽤する絵具⽤の紅です。やや⻩みをおびた⾊彩が特徴です。
細⼯紅は澱粉糊を添加し、適度な粘りをもたせて使⽤します。

- 摺師にとって特別な絵具
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摺師にとって細⼯紅は「⾦の如く」といわれた⾼価な絵具であり、惜しみなく使える代物ではありませんでした。浮世絵は主版と数種類の⾊版によって制作されますが、紅版は親⽅が摺るものとされ、紅の摺り⾊によって作品の印象が⼤きく変わってくる重要な⾊のひとつでした。また、細⼯紅を⼆度、三度と重ね摺りすることで絶妙な濃淡を表現したほど、貴重な絵具でした。
摺り見本各種
左:二度摺り、細工紅と糊の配合比 6.5:3.5
中:三度摺り、細工紅のみ(粘性強)
右:三度摺り、細工紅のみ(粘性弱) - 失われた絵具、江戸時代の色を再現
- 錦絵に欠かせない絵具でありながら、明治時代以降、製造されることがなくなってしまった細工紅。伊勢半においても、久しく細工紅づくりは行われず、その製法を知る唯一の手がかりは、六代当主の残した「紅と浮粉を混ぜる」というわずかな記述のみでした。このような状況下で、江戸時代の色を再現すべく、絵具としての紅の製造を請われた先代紅匠(紅職人)が研究を重ね、幾度となく試摺りを行なった末に完成させたのが、この細工紅です。現在、浮世絵版画の復刻や日本画などに使用されています。

「達男気性競 金神長五郎」伊勢市版【復刻】 歌川国芳 画 当館蔵
2008年、北陸地方の旧家から360枚余の版木(「歌川派錦絵版木」国立歴史民俗博物館蔵)が発見された。これを機に、国芳の版木の復刻が企画・実施され、江戸時代の彫りと摺りの技術、また絵具について調査が行われた。本資料は、木版画家 立原位貫氏が彫り・摺りを手掛けたもので、細工紅が使用されている。
細工紅の使い方-木版画の場合

STEP1
泥状の細工紅はそのままでは長期保存が効かないため、絵皿などに取り、乾燥させたのち、粉末にする。

STEP2
摺制時には、粉末状の細工紅を酸液(烏梅を水に浸した液)で溶く。澱粉糊や膠を加えながら濃度を調整する。

STEP3
版木に細工紅と糊をのせ、紙を当て、馬簾で摺る。細工紅と糊の割合は、摺り出す紅色の濃淡によって変える。
商品のご案内
- 細工紅
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◦ 販売単位:10g(遮光容器入り)
◦ 成分:カーサミン(ベニバナ赤色素)、サフラワーイエロー(ベニバナ黄色素)
※澱粉糊は添加しません。
◦ 品質保持期間:要冷蔵で約1週間 ※粉末加工した場合はこれに該当しません。
◦ 販売価格:¥13,200(税込)ご購入のご案内
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(株)伊勢半ホールディングス 本紅事業部
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